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東京家庭裁判所 昭和34年(家)5391号 審判 1959年6月01日

本国 アメリカ合衆国ハワイ州 住所 東京都

申立人 デニス・シー・カートソン(仮名)

主文

申立人の名を、「デニス・シー・クロダ」と変更することを許可する。

理由

申立人は、主文どおりの審判を求める。

申立人の審判官の面前における陳述、および、申立人の提出した出生証明書、ならびに東京家庭裁判所の審判書謄本を参照し、当裁判所は、

申立人は、日本において、父ウイリアム・エツチ・カートソン、母ルービン・ヤスコ・クロダ・カートソンの間に生れた嫡出子であつて、アメリカ合衆国の市民であるが、父母が、昭和二八年七月○○日東京家庭裁判所の審判により離婚し、母の名はその婚姻前の名であるところの「ルービン・ヤスコ・クロダ」となつた。以来申立人は日本において親権者である母によつて育てられているが、父はその後アメリカ合衆国に帰つて申立人や申立人の母とは文通もなく、何等の交渉もなく、現在においては父の所在は申立人等には知られていない。しかも、申立人の姓は、法律上依然として父の姓である「カートソン」を称しているので、パスポートの記載をはじめ、学校における呼び名等もすべてそのとおりになつている。

という事実を認定する。

申立人が、まだ十歳に満たない少年であることを考慮すると、右のような環境において母と姓を異にして生活することは、申立人の学校生活その他の日常生活に甚だ不便であるのみならず、申立人の感情の発達の上からも好ましくない影響が多いと考えられることに充分の理由があるので、申立人の姓を母の姓に変更することは相当である。

人の名の変更は、本人の本国法によるものと解するのであるが、本件においては、申立人はその本国であるところのアメリカ合衆国ハワイ州に住所を有しないで、日本に住所を有するので同州法においては、この場合、申立人の住所地である日本の法律によるべきものと解する。

よつて、日本法における氏名変更に関する規定に準じ、主文のとおり審判をする。

(家事審判官 河野力)

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